結局、なんだかんだで夕飯を作らされた俺は、今香澄ちゃんとぷ○○よをしながらくつろいでた。

ちなみに俺の三十連勝中。

「あ〜ん、もうエリちゃん強すぎるよ〜!」

体は疲れてるのに、頭と指だけはしっかり動いてるらしい。

何やってんだろ?

ようやく我に返った俺は渋る香澄ちゃんを部屋から押し出して、ベッドの上に横たわった。

窓の外はとても静かで、風邪の音一つしない。

雨こそ降らないものの、空気中に漂う湿気の多さは、ジメジメとした雰囲気を醸し出しながら体の自由を奪っている。

俺はエアコンのドライを働かせながら眠りに就いた。

 

「・・・・・・きて。ねえ・・・・・・ってば」

声が聞こえる。

何か、声が。

「エリ・・・・・・ってば〜。ねえ」

俺を、呼ぶ声?

誰・・・・・・が?

「ほらエリちゃんってば! 起きよ〜よ〜!」

香澄ちゃんだった。

時計を見ると午前七時。

歩美先輩は九時集合って言ってたから、もう少し眠れるんだけどな。

「って香澄ちゃん・・・・・・。どうやってこの部屋に?」

確かに鍵はかけたはず・・・・・・。

って確か昨日も入ってきたような・・・・・・あれぇ?

「ふっふっふ、この合鍵が目に入らぬか〜! ここにいる私を誰だと心得る! 恐れ多くもここの管理人! 蒼葉真澄の娘であるぞ〜!」

「はい没収」

黄門様ぶってた香澄ちゃんから合鍵を取り上げる。

これがあるから安息の地がなくなるんだ、全く。

「あぁっ! せっかくお母さんの目を盗んで合鍵持って来たのに〜!」

「更にダメじゃないかっ!」

一体どれだけ苦労したのだろうか、香澄ちゃんのうろたえ様と言ったらもう、異国の地ではぐれてしまった子どものようだった。

そこはかとなく悪いことをしているような気持ちに襲われたが、安息の地を取り戻すため、その後も決して返すことはしなかった。

後で大家さんにこっそり返しておこう。

 

「それで? こんな朝早くから何の用で?」

「うんっ! 朝ごはん食べに――」

「帰れっ!」

 

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