「ふう、今日はこんなところね。もう外も真っ暗」
いくら夏とはいえ、七時にもなると辺りは闇に支配されていた。
今日は、ということは明日もきっとあるんだろう。
こうした影の努力が、学校行事を盛り上げてるんだろうな。
生徒会室に戻ると、そこには他の役員が帰り支度を始めていた。
入るなり側近ズがなにやら絡んできたが、今は相手にする気になれない。
しばらく無視していると、二人ともトボトボと肩を落としながら歩美先輩の隣に戻っていった。
何だ? 本当は仲良くなりたいのか?
「みんな今日はお疲れ様。明日は九時に生徒会室集合ね」
「了解や。ほな、みな帰るで」
会長・副会長両名の号令の後、俺たちは下校する運びとなった。
「どうだった? 初めての生徒会活動は」
下校途中、歩美先輩はそう訊ねてきた。
村中先輩・綾香さんは前方を歩いている。側近ズは後方に控えていたが。
「そうですね〜、少し疲れました。あんまり仕事できませんでしたけど」
というより仕事の内容すら満足に教えてもらえなかったのだが。
当然、仕事も与えてもらえなかったし。
今日した仕事と言えば、村中先輩の荷物持ちと綾香さんと会計確認をしたくらい。
正直、あんまり役に立ってなかったけど。
「最初はそんなものよ。いざとなったら、わたしも綾香も源ちゃんも、由貴や宋ちゃんだって助けてあげる。みんなは一人のために、一人はみんなのために、ってね♪」
そう言って歩美先輩は優しく微笑む。
子どもっぽかったさっきとは違う、まるで聖母様のような微笑み。
そんな笑みを見ていた俺は――
「い〜〜つまで見てるつもりだ〜〜〜!!」
――南にドロップキックを食らった。
「あ〜いったっ! アイツ本気で突っ込んできた・・・・・・」
足のあちこちに擦り傷を負った俺はとりあえずマキ○ンで応急処置を施した。
お風呂、染みるんだろうな。
「ふ〜・・・・・・」
ベッドに横たわって、今日の疲れを癒すように肩の力を抜く。
そういえば、一人でこんなにくつろぐのって久しぶりのような気がする。
この部屋は憩いの場みたいになってたからな〜。
部屋に流れる静かな時の中で、俺は夕飯を食べるのを忘れて瞼を閉じて――
「エリちゃ〜ん! 晩御飯まだ〜!」
――香澄ちゃんが乱入してきた。
鍵、ちゃんと掛けたのに・・・・・・。
「作ってないっ! そして当然のように入るなっ!」
やっぱり、俺の部屋はくつろげる環境にないんだな。