――球技大会二日目――

今日は敗者復活リーグが行われる。

この日は、決勝トーナメントに進出したクラスは自由登校日となっている。

簡単に言えば、学校に来なくても出席扱いにされる日ということ。

しかし、決勝トーナメントにも、敗者復活リーグにも入れなかったお暇な方々は、学校に来なければ、欠席扱いにされてしまう。

この、半ば不公平な規則も、蒼葉高校の特徴の一つと言える。

校則によって、学校に来ざるを得なかったクラスは、友達のクラスを応援したり、暇を持て余していたり、何処のクラスが勝つか賭けていたり・・・・・・。

って賭博! 校内で堂々と賭博してる!

「俺、三の六が勝つと思う!」

「いや、意外と二の七が来たりするんだよな〜」

「あんたたち何言ってんの? 明日香たちのクラスが優勝に決まってるじゃない! というわけで私は三の七に賭けるわ!」

その中には亜沙子先生の姿も・・・・・・。

しかも自分のクラスじゃないし・・・・・・。

「仕方ないわ。お姉ちゃんだもん」

と後ろから呆れ顔の明日香先輩がやって来た。

「あ、明日香先輩。いいんですか、ほんとに」

「あ! 明日香! 絶対勝ちなさいよ! 負けたら承知しないんだから!」

「じゃあ私たちが優勝したら、ヴァイオリン買ってくれる?」

ヴ、ヴァイオリン? 一体何に使うつもりですか?

「決まってるじゃない。エリちゃんと一緒に演奏するためよ♪」

あ、そうですか・・・・・・。でも、ヴァイオリンって結構しますし・・・・・・。

「・・・・・・いくら?」

「ん〜? 四万二七四九円」

あ、しっかり値段調べてあるんですね。

「え〜っと・・・・・・」

そういうと亜沙子先生は、なにやら指を折り始めた。

どうやら計算をしているようだ。

というか、普通に考えて、どう考えても割に合わない気がするのだが・・・・・・。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん! いいよ♪ 買ってあげちゃう♪」

「はい!? 亜沙子先生、一体いくら賭けてるんですか!」

まさかその交渉に応じるなんて・・・・・・。

「一人頭一万円!」

高っ! 一端の高校生から一万円も取り上げるつもりですか!

「OK! 交渉成立ね。これは負けられなくなったわね」

「頑張ってよ〜。私の最後の諭吉が懸かってるんだからね!」

あの〜、一応その行為って、刑法第百八十五条に違反するんですけど・・・・・・。

「ヴァイオリン、ヴァイオリン〜♪ エリちゃんと一緒に演奏〜♪」

「ふっふっふ。この勝負、貰った!」

あ〜、もういいや。町田姉妹に常識は通用しないわ。

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