陽も高く昇りきった、球技大会二日目の昼下がり。

今のところ、わが二の二は三戦三勝。

つまり、あと一勝すれば決勝トーナメントに進出できる。

あとは、二年七組と三年三組だ。

今日の昼休みは、明日香先輩に見つからないように、ひっそりと隠れていた。

おかげで、休憩はあまり出来なかったけど、明日香先輩に絡まれるよりはマシだ。

「次の試合は二年七組ね。あそこは要注意よ」

俺の隣で綾香さんが腕を組みながら告げてきた。

「へ? 何でですか?」

「あそこは要注意なのよ。何で敗者復活に来たのか、解らないくらいに、ね」

「それはですね・・・・・・、同じブロックに明日香先輩のクラスがいたんです・・・・・・」

「あれで、ものすごい手加減してましたからね。ビックリっすよ」

そこに現れたのは、生徒会書記の綾瀬くんと、かなりカッコいい男の子。

「あら、ハルくん。それに彼方くんも。こんにちは」

「こんちは〜っす、綾香さん。と、そちらの方は?」

彼方くんと呼ばれたその人は、こちらを見ながら訊ねた。

身長は百七十五くらいあるかな。俺目線で見ると、みんな高く見えるのがなんか悔しい。

男の俺から見ても、かなりカッコいい顔つき。

コイツ、モテるんだろうな。羨ましい限りだ。

俺なんか第一印象が「可愛い〜」だもんな。

中学時代、バレンタインの頃なんか、「おい、エリは誰にチョコあげるんだよ? やっぱ一樹か? それとも圭吾か?」なんてからかわれてたもんな。

「え、えっと・・・・・・彼は龍宮絵里菜くんといって、ウチのクラスに来た転校生なの。絵里菜くん、彼は日向彼方(ひゅうが かなた)くん。ハルくんの親友で、お父さんが市長なのよ」

「ども、初めまして、日向彼方です。今後ともよろしく!」

なんか敬語、敬語になってるけど、同級生なんだよな、一応。

「次の試合、ウチと当たるんすよね? 予選では運悪く三の七と同じグループだったもんで。でも! もう負けないすからね。覚悟しといてくださいよ、綾香さん! 龍宮・・・・・・くん?」

何故そこで「?」が付く? あれか? 「くん」と「さん」で迷ってるのか? そうなのか? そうなんだな? よ〜し! 絶対負けない!

「ええ。こちらも全力でいかせてもらうわ。それと、絵里菜くんはこう見えても男の子だから、『くん』でいいのよ」

綾香さんは、俺の心を見透かしたかのようにそう言った。

「あ、そすか。ハルと同じだな。この前、二人で町歩いてたら、カップルと間違えられましたからね〜。な? ハル?」

「う、うん。そうだね・・・・・・。あの時はビックリした・・・・・・」

なんていうか・・・・・・、よく喋るな〜日向くん。

何で綾瀬くんと日向くんが親友なのか、全然検討がつかない。

それにしても、どうしてこのクラスが要注意なんだろう?

やっぱり日向くんの運動神経がいいからなのかな?

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