時は二時十分。
十分遅れでその試合は始まった。
「これより、二年二組対三年六組の試合を始めます!」
試合開始はジャンプボールから。
ウチは織田くん、向こうは村中先輩だ。
ピー! という笛の合図と共に審判がボールを垂直にあげる。
「おらぁ!」
ジャンプボールを制したのは村中先輩。
そのボールを取った選手は、すかさずボールを村中先輩へと渡す。
村中先輩の前に立ちはだかるは、竜馬だ。
「はん! 甘いわ!」
その竜馬の横をいとも簡単にすり抜けると、続けてマイ、野中さんも抜き、
バン!
「ダ、ダンクシュート・・・・・・」
やってみた〜い。
じゃなくて、あっさり先制を許してしまった。
「ドンマイドンマイ。まだまだこれからよ」
今度はこっちの番だ。
ボールを持っているのは竜馬。
マークは二人付いている。
このメンバーならマークされるのは竜馬であることは予想していた。
しかも村中先輩がいるということは・・・・・・。
俺は綾香さんの方を一瞥すると、やっぱり、マークされてるのが見える。
現在の敵は、竜馬と綾香さんに二人ずつ。ゴール前に村中先輩、といった感じ。
詰まる所――
「竜馬! こっちだ!」
――俺はノーマークだ!
「おう!」
竜馬の出したパスは二人のマークの間を上手く抜けて俺の手元へ。
「あっ、しまった! 源さん!」
敵は四人とも後方。後は村中先輩を抜くのみ!
てか、いざ向かい合うと恐っ!
そうもしている間に村中先輩との距離はどんどん迫っていく。
「行かせるかボケ〜!」
先輩、試合中にボケはないでしょう、ボケは。
けど、そんなこと言ってる場合じゃない。
俺は、猛然と迫ってくる村中先輩を左にフェイントをかけたあと、右から抜いてレイアップシュートを入れた。
「やるやないか、龍宮」
「先輩も凄いです」
これで二対二の同点。
勝負はまだ始まったばかりだ。