「あっ、いっけな〜い。球技大会の組分けするの忘れてた〜」
HR後開口一番、亜沙子先生はそう俺たちに告げてきた。
我が校は一年・二年・三年共に十クラスの計三十クラスで、いきなりトーナメントをするには――まぁ、俺はそれでもいいんだけどね――ちょっと無理がある。
そこで、トーナメントに入る前に、予選リーグと称して五クラス六リーグ戦を行うのだ。
「というわけで、学級委員は放課後、生徒会議室に行ってくださ〜い♪」
「「えっ!?」」
学級委員は二人とも相当驚いてるみたいだ。
まぁ、無理もないだろう。いきなり放課後に用事ができたんだから。
亜沙子先生、相変わらず大雑把だな・・・・・・。
「せ、先生。今日僕用事が・・・・・・」
「わ、私もです・・・・・・」
「問答無用! 今日用事を入れてしまったあなたたちが悪いの! どうしても行けないなら、誰か代役をたてて頂戴!」
うわっ、あの先生、自分のミス人のせいにしちゃったよ。
というか「問答無用」って姉妹揃ってなんだ・・・・・・。
これでお母さんとかも言ってたら、それはもう町田家の遺伝なんだな。
そんなお騒がせな亜沙子先生が出ていった後、
「ねぇ、綾香〜。放課後代わりに出てくれない?」
「僕も今日の放課後はちょっと無理なんだ。頼めないかな?」
学級委員二人が、綾香さんに救いを求めていた。
生徒会っていうのもあるんだろうけど、やっぱりみんなから頼りにされてるんだな。
綾香さんは、呆れたような顔をして、
「はぁ、仕方ないわね。分かった。放課後の評議会は私と絵里菜くんで行くから」
「やたっ! 綾香ありがと〜」
「助かったよ、ありがとう」
そう言って二人は去っていった。ちなみに、ウチの学校は学級委員の集まりを評議会と呼んでいる。
何でも引き受けてあげるし、悩み事も親身になって聞いてあげる。
そんなとこが綾香さんが頼りにされる要因なんだろうな。
・・・・・・ってちょっと待て。
「あ、綾香さん・・・・・・」
と呼んだら肩にポンっと手を置いて、
「という訳だからよろしくね、絵里菜くん♪」
ま、マジですか?
半ば強引に、放課後の評議会に出席することになった俺。
とんだとばっちりを受けてしまった。
組分けというのは、球技大会で優秀な成績を残す上で非常に重要なわけで・・・・・・。
そのくじを引く人は責任重大なわけで・・・・・・。
ひょんなことからクラスの運命はこの双肩に託されてしまった。