――それぞれの東京への進路――

「つか、遠いな〜」

「ですね」

熱海から東京タワーのある東京都港区芝公園まで少なくとも百キロはある。

「どうしようか?」

片道百キロということは往復では二百キロもあるということだ。

流石にそんな長い距離、一日じゃ帰ってこれない。

俺は途方に暮れていた。

ふと、美香ちゃんの方を見てみると、眉をひそめて懸命に考えている。――と、

「やっぱり電車使いましょうか?」

へ? 電車?

「さっき明日香先輩が交通機関を駆使しても構わないって・・・・・・」

ま、マジですか?

『ま、マジですよ?』なんて声が聞こえたような気がした。

っていうか、それじゃあマラソン大会じゃないような・・・・・・。

「みんな行っちゃいましたし、美香たちも行きましょうか、龍宮先輩」

「そうだね、じゃあとりあえず熱海駅に向かおうか」

絵里菜・美香ペア――熱海駅へ移動中――

「さて、じゃあ乗ろうか。海斗も乗るんだろう?」

「勿論」

「「あの、いいんですか? 新幹線なんか使って」」

私たち、結城姉妹は熱海駅でひかり四〇八号に乗ろうとしています。

明日香先輩は「マラソン大会」って言ってたのに・・・・・・。

ユエ先輩と海斗先輩に付いてきたら当たり前のように新幹線に乗ろうとしてます。

「いいのさ。東京タワーだなんてとてもじゃないが走れる距離じゃない。その辺は明日香も十分分かってるだろう。さあ乗って、発車するよ」

ユエ・沙希ペア&海斗・沙耶ペア――ひかり四〇八号車内――

「いよっしゃ〜、東京へ行くど〜! うぉ〜りゃ〜」

・・・・・・行っちゃった。どうも、辰哉くんに置いてかれた蒼葉香澄です。

ブルルルルルル・・・・・・。あっ、あのバスは。

「香澄〜? 乗ってく?」

「お母さん! 乗ってく、乗ってく〜。ありがと〜♪」

蒼葉親子――観光バスで移動中・辰哉、東京へ全力疾走――

「流石に東京までは走れないよ〜。どうする? 竜馬くん」

こんにちは、土屋竜馬です。確かに東京は遠い・・・・・・。そうだ!

「ヒッチハイクしようか?」

竜馬・マイペア――熱海市内でヒッチハイク中――

「待ってよ、明日香ちゃ〜ん」

どうも、蒼葉高校吹奏楽部の部長をしています。町田明日香です。

なんでよりによってアリスとペアなのかしら。エリちゃんが良かったのに・・・・・・。

こんなんじゃ、みんなに負けちゃうじゃない。

明日香・アリスペア――ヘ「それはひ・み・つ♪」・・・・・・居場所不明――

back index Novel top next