「今日はマラソン大会を行います!」

『イエ〜イ!』

また大会、っていうか此処旅館のロビーですから、五月蝿くすると怒られますよ?

なんかカラオケ大会と同じテンションのみんな。と至って冷静な人が数人。

「明日香、ちょっとはしゃぎ過ぎじゃないか?」

「全くだ。これでは気が休まる暇がないじゃないか」

「俺・・・・・・なんか凄い疲れてるんですけど・・・・・・」

「先輩・・・・・・今日はちょっとのんびりしませんか?」

海斗先輩、ユエ先輩、竜馬、マイの順で明日香先輩に文句を言っている。

「問答無用♪」

「「はい・・・・・・」」

「「おい、明日香・・・・・・」」

「問答無用♪」

出た、明日香先輩の「必殺! 問答無用♪」攻撃。しかも二回。

吹奏楽部で数少ないまともな人たちが、ものの見事に一蹴された。

「「はぁ・・・・・・。もう好きにしてくれ」」

駄目だこりゃ。海斗先輩とユエ先輩が勝てないんじゃ、誰も勝てないな。

「誉め言葉として、受け取っておくわ。さて、コースを説明するわね。ルールは簡単、東京まで行って○ッポングッズを買ってくるだけ! ルートは自由!」

東京〜!? 明日香先輩。ここ、何処だと思ってるんですか?

「何処って、熱海に決まってるじゃない。エリちゃん、もしかして惚けちゃった? 吹奏楽部は肺活量と体力が大事なのよ? これくらい走れなくてどうするの?」

「・・・・・・それで? 出発は何時なんだ? みんな昨日は寝てないんだぞ?」

おぉ、流石海斗先輩。この理不尽な提案に対しても、冷静を保って・・・・・・ない? もしかして、ちょっと怒ってる?

「別に怒ってなんかないさ・・・・・・」

あれ? 海斗先輩にも心読まれた・・・・・・。もしかして俺ってサト○レ?

「十二時に出発よ。それまでは各自休息タイム。あ、あと二人一組だから出発前にくじ引きでペアを決めるからね♪ ペアのどちらかが帰ってくればゴ〜ル♪」

明日香先輩、無視ですか? 否定しないってことは、まさかほんとに俺・・・・・・。

「大丈夫だよぅ、絵里菜くんはサ○ラレじゃないから♪」

うぉ〜い、ちょっと待て〜い! 香澄ちゃんまで心読んどるやないか!

「絵里菜くん、恐い・・・・・・」

それから十二時まで、俺は無心で過ごした・・・・・・。

――十二時――

「それではペアも決まったので、第一回蒼葉高校吹奏楽部マラソン大会、スタート!」

こうして、俺らのマラソン――もとい「サバイバル」の火蓋は切って落とされた。

因みにペアは、明日香先輩・アリス先輩ペア、竜馬・マイペア、香澄ちゃん・辰哉ペア、海斗先輩・沙耶ちゃんペア、ユエ先輩・沙希ちゃんペア、俺・美香ちゃんペアとなった。

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