「只今の得点――九十八点――」
あっ・・・・・・。
「勝った・・・・・・?」
「第一回蒼葉高校吹奏楽部カラオケ大会の優勝者は龍宮〜絵里菜〜!」
明日香先輩、マイク使って大声出さないで下さい。
「じゃあ優勝賞品は学校でのお・た・の・し・み♪」
「あ、はい、ありがとうございます」
とは言ったものの豪華賞品って何だ?
ウチの吹奏楽部のことだから、世間一般の「豪華」とはきっとずれていると思う。
そう思った後、急に心を読まれてないか不安になって明日香先輩の方を見てみる。
「さぁ、みんなで朝ご飯食べにいきましょうか?」
「「「「「さんせ〜い」」」」」
良かった。明日香先輩、気付いてないみたいだ。
・・・・・・え? 朝ご飯?
確か、カラオケを始めたのは日付が変わった頃だった筈・・・・・・。
俺は、嫌な予感がして時計を見た、そして膠着(こうちゃく)。
ま、マジですか?
俺は信じられなかった。
だって八時だよ?
八時間もみんなでずっと歌ってたんだ・・・・・・。
っていうか、合宿初日はカラオケで徹夜ですか?
「何やってるんだ、龍宮。置いていくぞ」
「あぁ、はい今行きます」
ユエ先輩に呼ばれてようやく膠着状態から抜け出した俺は、みんなと一緒に朝ご飯を食べにいくことにする。
朝ご飯はバイキング形式になっていて、まぁ簡単に言えば、こんだけ用意したから後はお好きにどうぞ? みたいな感じになっていた。
この方が自分の好きなものを好きなだけ食べられるから、俺は好きだ。
そしてこの形式だと、お皿を見るだけで人の好き嫌いがよく分かる。
例えば、結城姉妹。
流石、双子なだけあって取ってくる食べ物が・・・・・・一緒だ。
全部一緒だ。好き嫌いも一緒なのか?
辰哉なんかいろんな料理を山盛りにしている。
おかずの区別なんかしない。いろんな物がぐちゃぐちゃに混ざっている。
腹ン中に入りゃ何でもいいのか? アイツは。
明日香先輩は・・・・・・あれ? いない。
ちょうど目の前にユエ先輩がいたので聞いてみた。すると、
「明日香ならもう食べ終わって、運動してくる。って言ってたぞ」
早っ! ついさっきまで二人前を越える量のご飯を盛ってたのに・・・・・・。
明日香先輩の食事の早さと、大量に食べても太らないあの体質に疑問を持ちながらも、俺は、のんびり三十分かけて朝食を食べた。
今日の朝ご飯は、みんなの味の好みが分かって面白かった。