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 九時から始まった準備も、気が付けばもう下校時間を過ぎる頃になっていた。
「ん〜、さすがにこれ以上の作業は無理ね。続きは次にしましょう。みんな、キリのいい場所で終わらせてね」
 三時のおやつと称して糖分を摂取した歩美先輩の仕事速度は尋常ではなく、自らの仕事の大半を一日で終わらせていた。
『歩美が最初から最後までいることなんてまず有り得へん』
 村中先輩の言葉を、真に理解した。
 全体指揮はともかくとして、自らの仕事はすぐに終わらせることができるのだ。
 そして歩美先輩がいない間は村中先輩が全体を仕切る。
 これもチームプレイの成せる業なのかなと思った。
 そんなことを思いながら村中先輩を見ていると、こちらの視線に気付いたらしく、お疲れさん、と声をかけてくれた。
 この一言が、次も頑張ろうという気にさせてくれる。
 だから、もっと、役に立ちたいと、思った。

「もういい加減慣れたやろ?」
 すっかり恒例となった帰り道、みんなが前を歩く中、村中先輩がそう切り出した。
「まあ、とりあえず生徒会の空気には慣れましたよ」
 明日香先輩をも凌駕するのではないかと思われる生徒会長と、その人にべったりな鬼畜執事の二人だけで、正直 お腹いっぱいですよ、ホントに。
「そか、んなら早よ仕事の方にも慣れてもらわんとな」
 常時活動できる戦力は一人でも多いほうがええ、と愚痴るようにこぼした村中先輩は、少し遠い目をしたような気がした。
「ところで自分――」
「はひ!? な、なんですか?」
 覗き込むように見ていた(背丈の関係上仕方ないのだが)俺は、急にこちらを向いた先輩に驚いて、声が上ずってしまった。
 少し疑問符の浮かぶ顔をした先輩から出た言葉は、俺にとって青天の霹靂だった。
「――生徒会ばっか出とるけど、自分の部活の方はええんか?」
「・・・・・・・・・・・・え?」

 ――音楽荘――
「ねー、最近エリちゃん来なくない?」
「きっと生徒会が忙しいんだって。ほら、文化祭も近いし」
 明日香が愚痴り、海斗がなだめる、いつもの風景。
 違うのは、彼がいない事。
「ぶー、つまんなーい。エリちゃんめ・・・・・・」

 突然、背筋に感じた寒気は、おそらく気のせいではないだろう。
「あ、あはははは、だっ大丈夫ですよ〜。あはっ、あはははは・・・・・・」
「そか? んならええねんけど」
 村中先輩の苦労を憐れむ前に、自分の未来を心配した方がいいなと思った。


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