何か不満爆発なのだが、明日香先輩の決めたこと、しかも「問答無用♪」が出た今、その意見を覆すことは、たとえ三つの僕(しもべ)の力を借りても無理だ。
 俺は渋々、ヴァイオリンの練習を開始した。
 横目でみんなの練習を見てみると、みんな必死に練習している。
 必死に練習しているのだが・・・・・・。
「明日香先輩、何でみんな、前に言ってた楽器と違うものを練習してるんですか?」
 そう、前(♯52)に言ってた楽器とは異なる楽器を練習している。
 いや、一ヶ月も前のことを全部覚えてるわけじゃないけど、マイを見れば判る。
 だってドラムを練習してるんだもん。
 ぎこちない手でスティックを持つマイ。
 やり方が全く分からないでオロオロしているマイの姿が、とても微笑ましかった。
 しかし、演奏会に向けての練習としては、何かが決定的に間違ってるような気がしてならなかった。
「え? どこかおかしい所ある? みんな頑張って練習してるじゃない」
「いや、どう考えてもおかしいでしょ!? だってマイがドラムやってますよ!?」
「あ〜、そのことね。くじ引きの結果よ」
 ・・・・・・は?
 初め、俺は明日香先輩の言ってる意味が理解出来なかった。
「く、くじ引き?」
 くじって・・・・・・。あ〜た、それはちょっと無理があるんじゃないかい?
 なんて思わず○柳徹子風になってしまうほど驚いた。
 明日香先輩は、ケロッとした顔でヴァイオリンの練習に勤しんでいる。
「って明日香先輩! せめてあなたは管楽器を練習してください! 部長が管楽器やってないってどんな吹奏楽部ですか!」
「え? こ〜んな吹奏楽部♪」
 そう言いながら両手を大きく広げる。
 その先にいるのは、我らが蒼葉高校吹奏楽部。
 未だにドラムを叩いてるマイ。ギターを弾いてる竜馬。なんかロックっぽいのを歌ってる美香ちゃん。クラリネットを壊しちゃってるアリス先輩。ぷ○ぷ○をやってる香澄ちゃん、って・・・・・・。
「だ、誰も管楽器やってねぇ・・・・・・。補習で辰哉と結城姉妹はいないし。てかドラムにギターに歌、ってウチは軽 音楽部か!! ってそこ! ○よ○よやるの禁止!」
「え〜、だってくじに『ぷよ○○やれ』って書いてあったんだも〜ん」
「やらんでいい! せめて楽器に触れてなさい! 明日香先輩! 全部これ、くじ引きの結果なんですか!?」
「そうよ〜♪ 海斗とユエは、やらずに走りこみに行っちゃったけどね〜。まだ、カッちゃんがやってた練習メニューが残ってたのに〜! 惜しい!」
 明日香先輩は悔しそうに指をぱちんと鳴らした。
「カッちゃんって、○ッチすか! 十一巻参照すか! ピッチング三百球とかすか! もう吹奏楽云々じゃないじゃないですか!」
「問答無用♪」
 ・・・・・・激しく不安だ。


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