何か不満爆発なのだが、明日香先輩の決めたこと、しかも「問答無用♪」が出た今、その意見を覆すことは、たとえ三つの僕(しもべ)の力を借りても無理だ。 俺は渋々、ヴァイオリンの練習を開始した。 横目でみんなの練習を見てみると、みんな必死に練習している。 いつの間にかみんな、ちゃんと管楽器を練習している。 「それじゃあ一回みんなで演奏してみましょうか? じゃあ○パンのテーマからね」 明日香先輩がそう言うと、みんな楽器を持って整列する。 後ろには、いつの間にか生徒会と助っ人の皆さん。 指揮者の歩美先輩がタクトを振ると同時に、大音量で曲が始まった。 よく甲子園の応援などで耳にするその曲は、俺の心に大きな衝撃となって襲い掛かってきた。 前回、ドラムやギターや○○ぷよをやっていたメンツが混じっているとは思えないほど、息が合っていた。 今更ながら、マイがこの学校の吹奏楽部に入りたかった理由が解った気がした。 それだけこの学校の吹奏楽部は凄いのだ。なのに・・・・・・。 「どうして明日香先輩は演奏に参加してないんですか! あなたの吹奏楽部でしょ!? せめてタクト振るとか、やることがあるでしょ!?」 「最近怒鳴ってばかりねエリちゃん。あっ炭水化物足りてないのかも。パン食べる?」 「せめて糖分とかカルシウムとか言ってくださいよ。なんですか炭水化物って。しかも部員が一生懸命演奏してるときに、何、自分だけパン食べてるんですか!?」 もう明日香先輩やりたい放題だ。 そうこうしている内に、演奏が終わってしまった。 「はい! うん、いい感じね。この調子で、三日後に控えてる演奏会に向けてしっかり練習していきましょう!」 『え?』 明日香先輩が何気なく言った言葉で、みんなフリーズ。 驚いた顔でみんなの顔をキョロキョロと見回す明日香先輩。 「え? 何々? みんな知らなかったの? ごめ〜ん、言い忘れてた♪」 「言い忘れてたって・・・・・・。明日香、それはちょっと・・・・・・」 「そうだぞ明日香。いくらなんでもそれは急すぎる」 海斗先輩とユエ先輩は、かなりのご立腹の様子。 そりゃそうだろう。なんせ演奏会が三日後なんて・・・・・・。 「まぁいいじゃない。いつかはやって来るんだし、早い方がいいと思わない?」 明日香先輩は首を傾げながら、そう言ってきた。明日香先輩の得意の攻撃だ。 「はぁ・・・・・・。まぁこうなったら仕方ない。みんな! そういうわけだから、心の準備をしておいてくれよ」 『はい!』 流石は海斗先輩。たった一言で、みんなの気持ちを引き締めてしまった。 ここまで来たら、今までの練習の成果を、演奏会で発揮するしかない! 「あ、そうそう。もう一つ言い忘れてたんだけど、演奏会、オーストリアのウィーンでやるから、みんなパスポート、ちゃんと準備しといてね♪」 『何〜〜〜〜〜〜!!!』 ←back index Novel top next→ |