さて、時は進んで今、午前零時。 みんな東京に行って疲れたのか、すでに眠っている。 俺もそろそろ寝ようかな。 そう思った時、窓辺に、月明かりに照らされている人影が見えた。 ――ルナちゃんだ。俺は、ルナちゃんの横に腰掛けた。 「ルナちゃん? どうしたの? 眠れない・・・・・・とか?」 「あ、はい・・・・・・。ここに来る途中にちょっと眠ってしまったもので・・・・・・」 あ、そっか。電車の中で寝れば良かったんだ。 「じゃあ、ちょっと話そうか? ルナちゃんのこととか、まだ知らないし・・・・・・」 今話しとかないと、他に機会無さそうだし。 「え、でもいいんですか? え、え〜と・・・・・・」 「あ、俺の呼び方は好きにしていいから」 「そ、そうですか? じゃあ龍宮さん、は眠くないんですか?」 「俺は大丈夫だよ。むしろ眠れなくて困ってるんだ」 というのは勿論嘘。もう凄く眠い。 いや、眠れなくて困ってたのは、ほんとだけど・・・・・・。別の意味で。 「ルナちゃんは何処の学校に通ってるの?」 「えと、私は私立白百合中学校です」 「へ〜、私立白百合中学校か〜。あそこって結構レベル高いんじゃない?」 「そうですね・・・・・・。勉強についていくのが大変です」 私立白百合中学校といえば、都内でもトップクラスの学校だ。 「もしかして、学年順位、上の方にいたりする?」 「え、あっ、はい・・・・・・この前の実力診断テストでは一応・・・・・・八位に・・・・・・」 「八位!? 凄いね、あの白百合でトップテンに入るなんて・・・・・・」 「そんな・・・・・・。あ、でも友達の麗那ちゃんは、トップファイブに入ったんですよ?」 麗那ちゃん・・・・・・? 「あ、麗那ちゃんも苗字、龍宮ですね〜。なんか運命を感じます」 そんな・・・・・・。まさか・・・・・・。 「ねぇ、その麗那って子のこと、少し教えてもらえる?」 「え? あ、はい。先月、都立宝林学園中等部から転校してきたんです。家庭の事情で奨学金をもらってる、って言ってました」 もしかして・・・・・・。 「髪は肩に掛かる位だったりする?」 「え? あ、はい。・・・・・・なんで分かるんですか?」 あ、やっぱり。 「その子、俺の妹かも・・・・・・」 「え!? そうなんですか!?」 麗那が白百合にいる・・・・・・? 「あ、あの、龍宮さん? 聞いてますか? 龍宮さ〜ん」 父さんと一緒に行ったんじゃ・・・・・・。 「あ、あの、眠くなってきたので、先に寝ますよ〜」 その夜、俺はルナちゃんが寝たことにも気付かずに考え続け、最終日の朝が来た。 ←back index Novel top 第八楽章へ→ |