「これから肝試し大会をします!」
 明日香先輩は高らかに宣言した。
「・・・・・・もう明日香のことだから、それは決定事項なんだろ?」
「勿論♪ じゃあ説明するわね。ここの裏山に古い墓地があります。その一番奥に昼間、私が置いた封筒が幾つかあるから、それを持ってきてね♪」
 明日香先輩はとっても楽しそうに話している。
 海斗先輩は最早明日香先輩のことをとめる気はないみたいだ。
「それと、ペアは東京レースのペアで行きます!」
 東京レース? マラソン大会だったんじゃ・・・・・・。
「エリちゃん、細かい事は気にしない!」
 あぁ、俺にはプライバシーの権利ってもんは、
「無いわよ♪ さて、まだ肝試しには時間が早いから、東京レースの話でも聞かせてもらおうかしら? じゃあ、海斗・サヤサヤペアからお願い♪」
「別にたいしたことは無いよ? 普通に新幹線使って東京に行っただけだから」
 海斗先輩、新幹線なんか使ったんですか?
「んじゃあユエ・サキサキペアは?」
「私たちも海斗と同じだ。駅で海斗と会ったから一緒に向かった」
 あれ? もしかしてみんな新幹線使ってたんだったり?
「つまんな〜い。じゃあ竜馬くん・マイちゃんペアは?」
「私たちは、ヒッチハイクで東京に行くました」
 マイたちヒッチハイクなんかしてたの!?
「マイが居たから楽でした。車がすぐ止まってくれたんで・・・・・・」
「そうでしょうね。マイちゃん可愛いもん♪ 次! 香澄ちゃんは?」
 あくまで、辰哉には触れないつもりだ!
「えと、辰哉くんが全速力で走って行っちゃったんで、お母さんにバスで連れて行ってもらいました!」
 だから香澄ちゃんはいるのに辰哉はいないのか。
「なるほど・・・・・・校長先生か。その手があったわね。私たちは秘密♪ ね〜アリス?」
「え? う、うん。怖かった・・・・・・」
 怖かった、って。一体どんなルート使ったんだ?
「エリちゃん、細かい事は気にしない! さて、ビリのお二人は何をしてたのかな?」
「はい! えっとですね、電車で東京に向かいまして、おっきなぬいぐるみを買った後、帰ろうとしたら、リナ先輩の、前の高校のお友達に逢ったんですよ! それ で、昔話などを聞いていたら遅くなりました!」
 ・・・・・・はい、美香ちゃん説明ありがとう。でももう少し端折れたんじゃないかな?
「へ〜。そうなんだ〜。エリちゃん、あとで詳しく教えてもらうわね♪」
「へ? あ、いや、今美香ちゃんが話したことで全部ですよ? 他には何も・・・・・・」
(三本柱の話以外は・・・・・・ですけどね♪)
 美香ちゃんに、そう耳打ちされた。なんか美香ちゃんに弱み握られた気分だ。
「今日一日で『龍宮先輩』から『リナ先輩』になった経緯を詳しく教えてもらうわ♪」
「そ、それはいいじゃないですか!? 明日香先輩!」
 その後、明日香先輩を諦めさせるのに二時間を要した。


back index Novel top next