「ただいま帰りました! 明日香先輩♪」
 明日香先輩が玄関で出迎えてくれた。
 俺たちが、旅館に戻ったのが十九時半頃。
 外はもう真っ暗だ。
 もうみんな帰ってきてるだろうな〜。
「あら、遅かったのね。もうみんな帰ってきてるわよ」
 やっぱり。
「ちょっと、東京で色々ありまして・・・・・・」
「そうなんです! 色々あったんです!」
 美香ちゃんが妙にニコニコしているのは気のせいだろうか。
「ふ〜ん、そうなの? エリちゃん、何があったのかな〜?」
 やばい、心を読まれる! 無心無心無心無心・・・・・・。
 俺は心の中で「無心」と言い続けた。というか思い続けた。
「う〜ん、それじゃ心が読めないわ。やるわね・・・・・・」
 なんとか乗り切ることが出来たようだ。
 明日香先輩は残念そうな顔をして、行ってしまった。――と、
「あ、そうだ。これで全員揃ったから、二人とも三十分後にロビーに来てね♪」
 そう言いに戻ってきて、すぐに行ってしまった。
「とりあえず俺は一旦部屋に戻るよ」
「あ、はい。分かりました。それじゃあ三十分後ですね♪」
 俺は美香ちゃんと別れて、部屋へと戻った。
 そう、あの部屋へと・・・・・・。
 ――二〇四号室――
「あっ、絵里菜くん! お帰り〜。遅かったね〜、何してたの?」
「「「お帰りなさ〜い」」」
 部屋に帰ると、二〇四号室のルームメイトの皆様が、とても楽しそうにはしゃいでいた。
「ねぇねぇ絵里菜くん、あのね・・・・・・」
「「絵里菜先輩、えっとですね〜・・・・・・」」
 ・・・・・・なんか前にも似たようなことがあったような・・・・・・。
 とりあえず聞いてるふりをしながらぼ〜っとして三十分を過ごした。
 ――三十分後――
「ほら、そろそろ行くよ? 早く行かないと、明日香先輩に怒られちゃうよ」
「「「「は〜い」」」」
 俺たちは急いでロビーへと向かった。
 一体何をするんだろう?
 明日香先輩の考えだから、多分また突拍子もないことなんだろうな。
 しばらくしてロビーに着くと、みんなは既に集まっているようだった。――と、
「これから肝試し大会をします!
 明日香先輩は高らかに宣言した。
 ・・・・・・あれ? さっきみんな、って言ったけど辰哉がいない。
 ま、いっか。いつもの事だし。


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