――山道にて―― 「龍宮は転校してきたんだよな。前は何処に居たんだ?」 「前は宝林学園に居たんですけど、色々あってこの学校に・・・・・・」 そうだよな・・・・・・父さんが借金なんか作らなきゃ、今頃は一樹や圭吾達と普通に学校行って、馬鹿やってたんだろうな・・・・・・。 宝林学園。都内でも上位に入るハイレベルな高校だ。 一樹や圭吾って言うのは前の高校の俺の心友、つまり心の友。 どちらも頭が良く、カッコいいので、女子に人気がある。 皆、元気かな〜。 「宝林学園か・・・・・・。あそこ、結構レベル高いんじゃないのか?」 「まぁ、それなりには。でも、慣れれば楽しかったですよ」 「そういうものか?」 「そういうものです」 それからもいろいろな話をした。 俺の前の高校の友達の事、ユエ先輩の妹の話、ユエ先輩の神社の話。 ユエ先輩の妹のルナちゃんは、中学三年生で、ウチの妹――麗那と同い年らしい。 そういえば麗那と父さん、今何処に居るんだろうな・・・・・・。 母さんは七年前に、心臓病で早々と逝ってしまった。 俺が十歳、麗那が八歳の時だ。 元々心臓が弱かった母さんを助けようと家事を色々手伝っていたため、料理や掃除等家事は一通り出来る様になった。 「そうか、龍宮にも妹が居るのか。今度会ってみたいな」 「俺も会いたいですよ・・・・・・」 まだ別れてから一月(ひとつき)も経っていないと言うのに長い間会っていない様な気になる。 ・・・・・・母さんがいなくなった時もこんな感じだったな・・・・・・。 「どうした? 龍宮。何か暗いぞ?」 しまった、つい顔に出ていたのか。 「いや、そんな事無いですよ。あはははは・・・・・・」 「それならいいが・・・・・・無理するなよ。困った時は人に頼っても良いんだからな」 「はい・・・・・・ありがとうございます」 ユエ先輩には、全部分かってるのかな。 心の中まで見透かされてる感じがする。 頼れる先輩だな、と思った。 今度、困った事が有ったら相談に乗って貰おう。 「ところで、何を作るんだ?」 「えっと、大人数なんで簡単に、スパゲティでもと思って・・・・・・」 「一種類だと飽きるから、数種類作ったらどうだ?」 「良いですね、そうしましょう」 その後、数種類のスパゲティの材料を買って、再び山上へと向かう事になるが、山を降りてここに来るまで一時間弱。現在時刻は一時二十分。 帰るのにもそれ位かかるとログハウスに着くのは二時過ぎになってしまうな。 俺たちは足早にログハウスへと戻った。 ←back index Novel top 第六楽章へ→ |