今、俺は料理を作っている。
 しかも、十三人分。
 別に全部俺が食べる訳じゃない、っていうか、んな訳無い。
 あれは、十五分前の事。

「なんかおなか減ってきたわね〜」と明日香先輩。
「絵里菜くん、料理凄く上手ですよ♪」
「じゃあエリちゃん、ヨロシク♪」

 ――以上回想終了。
 で、俺は一気にちゃっちゃと作れる炒飯を作っている。
 普通に作るのも面白くないので鮭炒飯を作る。
 といってもただ炒飯に鮭フレークを入れるという簡単なものだが。
「あ〜お皿はそこの棚に有るからね〜♪」
 なんで一部室にこんなに食器やら食料やら布団やら、ここで生活できそうな物が揃っているんだろうか
・・・・・・。
 おっと早くしなければ冷めてしまう。
 俺は素早く皿に炒飯を盛って、みんなにお皿を渡して、フライパン等を片付ける。
 なんで部室で主夫みたいな事してるんだろ。
「まぁいいいじゃない、美味しかったわよ♪」
「それは御粗末様でし、ってえぇ! もう食べ終わったんですか?」
 俺がみんなにお皿を出して、調理器具を片付けるまで僅か五分足らず。
 その時間で食べ終わるか? フツー。
 他の人を見てもまだ半分も食べ終わっていない。――と、
「うむ、美味かった。これは、店を出せるレベルだな。私が保証しよう」
「それはお褒めに預かり光栄です」
 いや、だから早いって。
 その後、次々と食べ終わる人達。
「美味いな〜乙姫にこんな才能が有ったのか」
『美味しかったです・・・・・・』
 誰かに褒められる事は悪い気分じゃない。
 しかし、なんか違う気がする。
 その後、俺らは明日香先輩に、
「今日はこの空気に慣れてね♪」
 そう言われたのでそのまま、のほほんと過ごして時刻は午後六時。
「今日は初日だし、この位で解散にしようか?」
「そうだな」
 という事はいつもはもっと遅いと。
「いつもは夕飯もあるからね。と言う訳でエリちゃん、これからもヨロシクね♪」
 どうやら俺の料理人のポストは確定のようだ。
 特に何もしてないが「今日から新生吹奏楽部始動ね♪」と明日香先輩が言ってたのでそうなのだろう。
 実感が湧かないが改めまして、
 新生吹奏楽部始動! ・・・・・・なのかな? ほんとにこれでいいのか吹奏楽部。

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