「・・・・・・」 入った瞬間、俺は茫然とした。 「広っ!」これが俺の第一声。 そこには既に先輩四人となぜか町田先生、それと香澄ちゃん。 六人居てもガ〜ラガラ。 こんなに広くなくてもいいんじゃないかな? 「広い事に越した事は無いでしょ? それに去年は五十人は居たんだから」 なるほど、それもそうだ。 その後来た人たちも俺と殆ど同じリアクションだった。 全員揃ったところでとりあえず明日香先輩に訊いてみた。 「それで、これから何をするんですか?」 「う〜ん、特に何も」 えっ、なんですと? 「だから何もしないんだってば」 何故? 「エリちゃん、幾ら私があなたの心が読めるからって会話を心で思うだけっていうのはちょっと横着じゃないかしら?」 「あっバレました?」 「当たり前でしょ。因みにする事って言うと黄金週間に合宿に行く位かな?」 「「えっ?」」 俺と香澄ちゃんは同時にそう言った。 「マジですか?」 「マジですよ?」 「何処に行くんですか〜?」 「一応、今の所は熱海かな? あそこは山有るし、海有るし、温泉有るし、楽しいじゃない♪」 一つおかしいの入ってたし、っていうか楽しいから行くんスか? 「そうよ〜♪ 音楽をするんだから楽しむ事を学ばなくちゃ♪」 「うむ、その意見には賛成だ」 ユエ先輩、賛成なんスか? 「楽しいのは賛成ですぅ」 アリス先輩、既に楽しそうッスね。 「まぁ、楽しい事を相手に音で伝えるのが音楽だから僕にはなんとも・・・・・・」 海斗先輩まで・・・・・・。 「と言う訳で、黄金週間は熱海に行きます!」 『は〜い!』 満場一致、民主主義の荒波に呑まれ、俺たちは一週間後、熱海に行くらしい。 (ごめんね) 俺は香澄ちゃんに耳元でそう謝った。 (ううん、別にいいの。気にしないで) そう言いながらも香澄ちゃんはとても残念そう、っていうかふくれてたけど、俺は見なかった事にする。 ←back index Novel top next→ |