「だ〜れだ?」 だ、誰だって・・・・・・。 声からして女の子だ。 更にこんな事をするのは、 「えと、香澄ちゃん?」 「へへっあたり〜、よく分かったね♪」 そりゃあこんな事をするのはあなただけですから。 「一緒に帰ろ♪」 「い〜な〜。カスミン、俺と帰ろう!」 何時の間にか俺の後ろには辰哉が・・・・・・。 「ダ〜メ、私は絵里菜くんと一緒に帰るの!」 っていうかもう一緒に帰る事になってるし。 俺に選択権はなしスか? その後抵抗する事も出来ず、一緒に帰る事に・・・・・・。 ――下校中。 「あの、これからも一緒に登下校してくれますか?」 いきなり香澄ちゃんに、妙なお願いされてしまった。 してくれますか? って頼まれても。 「別にいいよ。むしろ、お願いします」 そう言うしか俺に選択肢はなかった。 「やった〜♪」 俺と一緒に登下校できるだけでこんなにも喜んでくれる香澄ちゃん。可愛いな〜。 「今日から部活始まるんだよね?」 「うん、確か音楽荘に集合って言ってたな」 そう、今日から部活動の開始が許可されている。 明日香先輩は「今日の一時に音楽荘に集合!」って言ってた。 「じゃあまた後でね〜♪」 香澄ちゃんとは香澄ちゃんの家の前で別れた。 香澄荘の前にある、音楽荘。平屋だが作りはとても新しい。 まぁ去年建てられたんだから新しくて当たり前だが。 ただ、外見は古く見えるように作られているらしく、中がどのようになっているのかは想像も出来ない。 しかしあの家は部室と言えるのか、どう見てもごく一般的な家なんだが。 明日香先輩は「ほら、五連覇だし♪」とか言ってたけどそれにしてもおかしい。 きっとあの部室、もとい部家には何か秘密があるに違いない。 ってんな訳無いか。馬鹿な事を考えていたらもうすぐ一時になろうとしていた。 やべっ早く行かなきゃ。 とはいえ音楽荘は目の前。ものの三十秒もかからずに着いた。 今から、ここから始まるんだ、俺の吹奏楽部活動。 去年五十人もいた部活、全国五連覇している部活――蒼葉高校吹奏楽部。 一体どんな練習をしているのだろうか。 俺は緊張しながら、音楽荘の扉を開けた・・・・・・。 ←back index Novel top next→ |