「ふう・・・・・・。ど、どうだったでしょうか? あ、あの、久しぶりだったんで、何か無茶苦茶だったと思うんですけど・・・・・・」

『・・・・・・』

「あ、やっぱ駄目ですよね。ずいぶん長い間弾いてませんでしたし」

「そ、そんなこと無いわエリちゃん! 凄かったわ! 凄い可愛かった♪」

「可愛かったかどうかはともかく、素晴らしい演奏だったぞ、龍宮」

「あぁ、凄い素敵な音色だったよ」

「エリちゃんって、こんな才能もあったんですね〜。羨ましいです〜」

「絵里菜くん・・・・・・凄い。私も見習わなくちゃ」

「リナ先輩凄いです! 尊敬しちゃいます! 私にも教えてくださ〜い!」

「やっぱり凄いなエリは。その豊富な才能は尊敬するよ」

「みんな・・・・・・ありがとうございま――」

「これはもう、エリちゃんのヴァイオリンソロをどこかに盛り込むべきね!」

「それはいい考えだね。折角だから、みんなにも絵里菜くんのヴァイオリンを聴いてもらいたいしね」

「私もそれには賛成だ。いいよな? 龍宮」

「――す・・・・・・。え? ま、マジですか?」

「え? ま、マジですよ? エリちゃんは嫌なの?」

「明日香先輩、だからその涙目で下から見上げるの、止めてくれませんか? その、苦手なんで」

「あら、そう? で? エリちゃんは嫌なの?」

「嫌っていうか、吹奏楽部なんですから、メインは管楽器だと思うんですよ」

「そんなのは明日香の前には、何の意味も持たないことくらい、龍宮も解っているだろう?」

「そうだよ。明日香の意見を覆すなんて、大手牛丼チェーン店○野家で『この近くに松○か、すき○ありますか?』って訊くくらい勇気と度胸がいるものなんだよ」

「そ、それは確かにかなりの勇気と度胸が必要ですね・・・・・・。俺には出来ません」

「あら? 私は出来るけど?」

「それは明日香先輩が度胸満点だからです」

「あ、あの・・・・・・。私も絵里菜くんのヴァイオリンソロ、聴きたいな」

「な!? マイまで・・・・・・。ちょっ、助けてくれよ、竜馬〜」

「エリ・・・・・・。残念だったな、俺も聴きたい」

「そ、そんな〜」

「それじゃあ決まり♪ 早速プログラム考えなきゃ♪」

「ちょっ、明日香先輩!? さっきまで『不本意ながら』とか言ってたじゃないですか!」

「何言ってるの、エリちゃん。これこそが吹奏楽部の本来の在るべき姿じゃない!」

「へ? いや、あの、さっきもそう言ったんですけど・・・・・・」

「問答無用♪」

「諦めろ龍宮。もうこれ以上は無駄だ」

「そうだな。こうなった明日香は『動かざること山の如し』だよ」

「そ、そんな・・・・・・。俺の意見が一切通らないのが、不満だぁ〜〜〜!!」

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