ピピー。
審判の笛が鳴り響く。
さぁ、負けられな――
「それまで! 試合終了〜!」
な・・・・・・い。あれ?
相手選手は悔しそうにセンターサークルに集まってくる。
俺、試合したっけ?
「何言ってるの? 勝ったじゃない、私たち」
綾香さんが不思議そうな顔をして見ている。
そうだっけ?
「四十二対四で二年二組の勝ち!」
「ありがとうございました〜!」
互いに礼をした後、それぞれに散っていく相手選手。
スコアボードを見ると、確かに四十二対四で勝っている。
・・・・・・四十二!? そんなに入れたっけ!?
「絵里菜くん惚けちゃった? 大活躍だったじゃない」
綾香さんに聞いた四十二点の内訳は、
綾香さん――八点
織田くん――四点
マイ――二点
野中さん――二点
竜馬――六点
俺――二十点
という内容だったらしい。
俺十本も入れてるんだけど・・・・・・。
「さて、みんなお疲れさま! 次は一の九よ! 後輩だけど油断しちゃだめよ」
「はいっ!」
みんな円陣を組んでやる気満々だ。
一人ポツンと残される俺。
あぁ、辰哉のポジションってこんな感じなんだ。
これからはもっと辰哉に構ってやろう。
「おい〜っす。おう、乙姫、バスケどうだった? 俺は勝ったよ! やっぱ一年は雑魚だな! 五対〇だぜ! これからもぶっちぎりで優勝してやるぜ! はっはっはっはっは〜。おっともうすぐまた試合があるんだ! またな乙姫、頑張れよ〜!」
風のようにやってきて、マシンガンのように喋って、風のように去っていった辰哉。
・・・・・・前言撤回。やっぱり構ってやれないわ。
あのテンションにはついていけない。
それから、一の九との試合、三の十との試合も勝利した俺たち。
次は問題の三の六との試合な訳だが・・・・・・。
「ほう、三戦三勝か。やるやないか。せやったらこの試合、勝った方が一位通過っちゅーわけやな」