「これから山を登ります!」

・・・・・・何で?

明日香先輩は皆を集めて、意味の解らない事を言い出した。

「吹奏楽部=肺活量=山!」

あれ? 途中色々端折(はしょ)りませんでした?

「細かい事は気にしない! 目標は裏の山! お昼くらいには頂上に着くと思うから頑張ろう! 最後に頂上に来た人は罰ゲームね。それじゃあ山登り大会スタート!」

何時の間にか大会になってるし、罰ゲームとかあるし。

「ビリにならないように頑張ろうね」

あぁ、マイにそう言われちゃ頑張るしかない。

よし、行くか山登り!

・・・・・・一時間後。

「ここ、何処だ?」

何か前と同じ状況に陥っちゃいませんか?

周りを見ても森、森、森。

東西南北分かりましぇん。

「どうしようかな・・・・・・っと」

次に進む道を勘で決めようとしたその時、

ガサガサッ

「な、何!?」

今、ガサガサって

俺は後ろの茂みに目をやってみる。とその刹那、

「何だ、龍宮じゃないか」

「あ、ユエ先輩」

た、助かった〜。俺はユエ先輩と一緒に頂上を目指すことにした。

「何してたんだ? あんな所で」

「いや〜迷っちゃって。ユエ先輩は?」

「私はちょっと景色を楽しんでたんだよ」

景色を、ですか。余裕なんだな、罰ゲームあるのに。

「こんなにいい所ならルナも連れて来れば良かったな」

「ルナって?」

「あぁ、妹だよ。ウチの神社の留守番を頼んできてしまったから来てないんだ」

ユエ先輩ん家って神社なんだ。それに妹が居るんだ。

そう言えばユエ先輩とあんまり話したこと無かったな。

「今度、ユエ先輩の神社行ってみてもいいですか?」

「別に構わないよ。今度招待するよ。おっ、話しているうちに、ほら見ろ、抜けたぞ」

「えっ? あ、ほんとだ。意外と近かったんですね」

森を抜けた所には立派なログハウスがあった。

そこには既に明日香先輩、大家さん、町田先生、海斗先輩が居た。

早いな〜みんな。このメンツだと多分、明日香先輩が一番乗りなんだろうな。

とりあえずユエ先輩のお陰で罰ゲームは逃れられた。

さて、ビリは誰になる事やら。

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