「どうしようかな〜」

今の時間は十時二十分。

両脇の双子はと言うと、

「う〜ん、もう食べられない」

「もぅ、食べられませんよ〜」

なんて、なんか双子で似たような夢を見てる。

これは、ちょっとやそっとじゃ起きそうに無い。

ぐっすり寝ている割には、俺を掴む力は物凄く強い。

これは抜け出せそうに無いし。

途方に暮れていた、その時。

「絵里菜くん、まだ居るの〜、って何やってんの?」

玄関を見るとそこには香澄ちゃんが。

「助かった〜。香澄ちゃんこの双子何とかして」

「え〜、どうしようかな〜」

どうしようかな〜、じゃなくて。

「頼むよ〜」

「頼まれちゃしょうがない助けてやるか。その代わり何か一つ私の言う事聞いて?」

俺は渋々承知し、香澄ちゃんの協力の元、なんとか抜け出す事が出来た。

「は〜、助かった」

その後、俺は布団を二枚敷いて、そこに双子を寝かせて音楽荘を後にした。

「よかったね〜。あのままだったら腰痛くなっちゃうよ〜」

「ほんとに助かった。ありがとう」

「それで、お願いなんだけど」

そういえばさっき助けてもらう前になんか言ってたな。

「今度デートしてくれませんか?」

「え、えぇ!? デ、デート!?」

「ダメかな?」

出た、明日香先輩譲りの上目遣いと涙目のダブルパンチ。

俺それ弱いんだよな〜。

「い、いいよ」

結局俺は、香澄ちゃんのダブルパンチにあっさりKOされてしまった。

「ほんと? ありがと〜!」

そう言うと香澄ちゃんはいきなり抱きついてきた。

「ちょ、ちょっと香澄ちゃん!?」

「あ、ごめん。つい・・・・・・。じゃあまた明日、おやすみ♪」

 

その後はあっという間に時は過ぎ、気がつけば今日は合宿前夜。

明日に備えて今日は早く寝ることにしよう。

明日は吹奏楽部の合宿か、一体どんな合宿になるんだろ。

合宿を通じてもっと部員の事を知れたらいいな。

なんだか合宿がとても楽しみになってきた今日この頃であった。

楽しみにしすぎて眠れないかも・・・・・・。

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