月日は瞬く間に過ぎ去り、気がつけば今日は球技大会当日。 え? くじ引きの結果がどうなったかって? 幸運なことに明日香先輩が引いたのはEブロックのくじ。 明日香先輩はとても残念そうな顔をしていたが、 「う〜ん、しょうがない。エリちゃん、決勝で会いましょう!」 と、妙に意気込んでいた。 決勝トーナメントは左からアルファベット順に並んでいるので、Aブロックの俺らが一位通過して、Eブロックの明日香先輩たちも一位通過すると決勝まで当たらないことになる。 敗者復活枠はトーナメントの両側に位置しているので、トーナメントの対戦は、 敗者復活一位対A、B対C、D対E、F対敗者復活二位といった感じ。 みんなウォーミングアップを始めている。 俺らの初戦は三年二組か。 三年生って強いんだろうな。 なんか緊張してきた。 「何してるの? いくわよ、絵里菜くん」 「へ? あ、ちょっ!」 ぼ〜っとしてたら、突如現れた綾香さんに腕を思いっきり引っ張られてしまった。 「まったく、捜したんだから。もうすぐ始まるのよ?」 「はぁ、すみません・・・・・・」 え? もうそんな時間? と思って時計を見るとずでに九時を回っていた。 ちなみに俺らの初戦は九時十五分から。 おう、もうすぐだ・・・・・・。アップしてないし。 「三の二は多分大丈夫よ。問題は三の六ね」 綾香さんは深刻そうな顔をして告げてきた。 「え? 危険なのは三の七じゃ・・・・・・」 だって明日香先輩たちがいるし。 「そこも問題なんだけど、三の六には・・・・・・」 「綾ちゃ〜ん、早く早く〜」 綾香さんの言葉を遮るように、誰かが大声で呼んでいるのが聞こえた。 野中さんだ。 「あ、う〜ん! 今行く〜! さ、絵里菜くん、早く!」 「あ、あの、さっきの話は・・・・・・あ〜あ、行っちゃったよ」 聞きそびれちゃったな。何だったんだろ? 試合会場で合流した時には、もう綾香さんはそのことには触れてくれなかった。 まぁいいか。試合の時には分かることだし。 誰か要注意人物がいるってことなんだろうな。 でも俺、転校してきてまだ浅いから、知らない人なんだろうな。 「選手整列!」 審判の声が体育館内に響き渡る。 「これより、二年二組対三年二組の試合を始めます!」 これから俺たちの球技大会が始まる。 ←back index Novel top next→ |