「そうか・・・・・・色々大変だったんだな」 「はい・・・・・・」 今、俺は海斗先輩の部屋に逃げ込んでいる。 よく考えたらこの部屋は、辰哉が五月蝿いのだが今は居ない。 「良かったな、辰哉が居なくて・・・・・・」 「ほんとに良かった、助かった」 「じゃあゆっくりと休むといいよ、明日香は俺がなんとかするから」 「ありがとうございます・・・・・・」 これでやっと休める・・・・・・。 俺は、山を歩き回った事と、香澄ちゃん、結城姉妹やら明日香先輩やらを振り切る為に体力を使い、疲れ切った俺は、三秒も掛からない内に眠りについた。 ――竜馬視点(※注 ここから先の事は絵里菜は何も知りません。だって寝てるから) 「余程疲れたんだな。もう寝ちゃったよ」 「ほんとですね〜」 そんなに疲れることなんて今日の日程の中にあっただろうか。 エリは今日、どんな一日を過ごしてきたと言うのだろうか。 時計を見ると午後六時十分。 「俺、ちょっと散歩に出かけて来ますね」 「あぁ、うん。僕はこのまま絵里菜くんの護衛をするから」 護衛ってそんな大袈裟な・・・・・・。 そう思いながらも、俺は部屋を出た。 ・・・・・・十分後。 俺は・・・・・・捕まった。 「ねぇねぇ絵里菜くん知らない?」 「「絵里菜先輩が何処にも居ないんです」」 「エリちゃんの居場所、知らない?」 蒼葉と結城姉妹と町田先輩に迫られる俺。 後ろは壁、逃げ場は無い。 「「「「ワーワーギャーギャー・・・・・・」」」」 みんないっぺんにいろんな事を言うから最早騒音にしか聞こえない。 エリはこんな人達を相手にしていたのか。 エリがあんなに疲れていた意味が今、ようやく分かった。 一時間後、ようやく解放された俺は自室に戻った。 「た・・・・・・ただいま・・・・・・」 「おかえり・・・・・・どうした? なんか物凄い疲れてるぞ」 「えぇ・・・・・・ちょっと」 俺は宮本先輩に一言だけ返した。体中がだるい。 その後、ぐっすり寝ているエリに一瞥してから思った。 そりゃ、疲れるわな。 荒波に呑まれてきた友人を、心から尊敬した瞬間だった。 ←back index Novel top next→ |