「ね、眠い」 やっぱりあまり寝れずに気が付けば五時。 「今寝て寝過ごしたら大変だから起きるか、って何やってんですか? 明日香先輩」 気が付くと明日香先輩が、布団の中に潜り込んでいた。 「えっ? 何ってエリちゃんと一緒に寝てるんだけど」 何でですか? と言うかどっから入ったんスか。 「普通に玄関から入って、起こしてあげようと思ったんだけど、寝ちゃった♪」 寝ちゃったって・・・・・・。 「迷惑だった?」 出た〜。明日香先輩の十八番、上目遣いと涙目のダブルパンチ。 「い、いえ・・・・・・別に」 「そう、良かった♪ それじゃあ行こうか?」 「はい。 え? もう行くんスか?」 「行くよん♪」 こうして俺は半ば強引に、明日香先輩と二人で吹奏楽部員を拾って回った。 観光バスで。 ・・・・・・何故に観光バス? 「校長が貸してくれたから♪」 最早、蒼葉高校の校長って何でもありだな。 で、一時間程で観光バスの中に吹奏楽部が全員集合した。 そういえば今更ながらだが吹奏楽部の顧問は町田先生だと言う事を知った。 因みに俺は一番後ろの左端に座った。 右隣には香澄ちゃんが・・・・・・座りたそうだったがマイが先に座った。 香澄ちゃんは仕方なく前に座ると思いきや、俺の左隣に強引に入り込んで来た。 反対側の窓側は明日香先輩と海斗先輩とアリス先輩、更には美香ちゃんが座った。 結果、一番後ろの席は向かって左側から、 香澄ちゃん、俺、マイ、アリス先輩、海斗先輩、明日香先輩、美香ちゃんが座った。 ・・・・・・誰かもっと前に座れよ、バスでかいんだから。 対照的に一番前には、結城姉妹とユエ先輩、竜馬が座っていた。 辰哉は真ん中のほうにぽつんと座っていた。 ・・・・・・辰哉、可哀相だな。 運転は町田先生がするらしい。 ところで・・・・・・、 「あの、なんで助手席に大家さんが乗ってるんですかね?」 「あれ? エリちゃんは知らないんだっけ? あの人の名前は蒼葉真澄、蒼葉高校の校長よ♪ ついでに亜沙子先生は私のお姉ちゃんなの♪」 ま、マジですか? 「ま、マジですよ?」 そうだったのか。し、知らなかった。世間って狭いんだな。 衝撃の事実を告げられながらも、バスは熱海へと向けて出発するのであった。 ←back index Novel top next→ |