「あ、あれ? 海斗先輩、ユエ先輩! 何で?」 「さすがに、疲れただろう?」 「僕たちは捕まったことにすればいいだろう、ってユエが」 「わ、私じゃないぞ、海斗が・・・・・・」 そっか、二人とも俺のために・・・・・・。 「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます」 「今行くと怪しまれるから、少し遅れて行こうか?」 その後、二時間くらいしてから、俺たちはみんなの待つ、大きな栗の木の下へ。 「え〜、ユエと海斗も捕まったの〜。じゃあエリちゃんの勝ち〜?」 なんか明日香先輩は凄く、いやかなり不満そうだ。 まぁ、あんな捕まえ方じゃ怒るかな。 「あれ? 辰哉くんがいないよ?」 え? あ、ほんとだ、いない。 マイに言われてはじめて気が付いた。 「でもまぁ、いつものことだし、いいんじゃ「良くない! エリちゃん、今すぐ辰哉くんを捜しなさい!」・・・・・・」 香澄ちゃんの酷い一言を明日香先輩が遮った。 いつも、邪険に扱ってるくせにこういう時だけ。 「五月蝿い! 早く捜しなさい!」 うわっ、なんか明日香先輩駄々っ児みたいだ。 「む〜」 あぁ、これ以上怒らせると何されるか分かんないから、捜すか。 捜し始めて一時間が経過した。 未だに辰哉は見つからない。 まさか、辰哉がラスボスとは夢にもおもわなんだ。 気が付けば、近所のお寺が夕刻の鐘を鳴らしている。 早く見つけなきゃ、って・・・・・・いた。 辰哉は有ろうことか、木の上で寝ていた。 器用だな。よく落ちないで寝てられるもんだ。って、あ、落ちた。 「いって〜、ちっくしょ〜。ぜってぇ落ちない自信あった、ってあれ? 乙姫?」 「そうだよ。はい、御用っと」 これで全員捕まえたので、俺は辰哉を連れて大きな(以下略)へ。 「え〜、辰哉くんも捕まったの〜。む〜」 明日香先輩、相当機嫌悪いな。 しかし明日香先輩って、拗ねると急に子供っぽくなるんだな。 「む〜」 あ〜、どうしよう。ある意味、こっちの方が鬼ごっこより大変かも・・・・・・。 兎にも角にも、こうして吹奏楽部の鬼ごっこ大会は幕を閉じたのであった。 しかし俺には、明日香先輩の機嫌を直す、っていう罰ゲームが待ってるわけで。 鬼ごっこが終わったあとも、俺への試練は続くのであった。 一難去ってまた一難とは、このことだな、と身をもって知った一日だった。 この試練が物凄く大変だったことは、言うまでもない。 index Novel top
あとがき
はい! お楽しみいただけたでしょうか? 長くなった理由は、オチがなかったというのと、 当初無視するはずだった辰哉を追いかけてしまったからなんですね。 オチに関しては、これでいいのかちょっと不安ですけど・・・・・・。 兎にも角にも鬼ごっこはこんな感じで行なわれました。 お疲れ様でした・・・・・・。