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ずいぶんと驚天動地なことを言ったあとに、歩美先輩は説明を始めた。

「いい? 確かにここには、会長を含む生徒会役員が四人いるわ。でもね! その内の二人は『立ち合い人』ではなく『当事者』なのよ! だから無効!」

「「「・・・・・・」」」

もう開いた口が塞がらない。

どうやらこの学校で、我が道突き進んでる○パイラル○ライバーな人は、明日香先輩だけではなかったらしい。

隣で読書に勤しんでいた綾香さんも呆れ顔だ。

きっと今までの人生の中で、歩美先輩の暴挙に苦労してきたに違いない。

「と、いうわけで二回戦はズバリ! 期末テストよ」

「期末テスト・・・・・・ですか?」

またとんでもないものを競技の演目に取り入れてきたなこの人は。

期末テストとは言わずもがな、週明けから始まる試験のことで、その結果は一学期の成績に大いに影響してくる、決していい加減に臨むことの出来ない試験である。

また、今回もわざと負けるわけにはいかない。

いや、出来ないわけではないが、俺の成績に関わる。

そこまでしてわざと負ける気には、どうしてもなれない。

歩美先輩は、そこを突いてきたのかもしれない。

「そうよ~。教科は国・数・理・社・英の五教科。各教科での個人戦と、五教科合計得点による団体戦とどっちがいい?」

「どっちでもいいですよ」

別に興味ないし、もしも勝ってしまって、生徒会に入ることになったら、それは一生の内でそう何度もない不覚ではあるけれど、この際仕方がない。

この生徒会長さんに目をつけられたのが運のツキと言うことだな。

「じゃあ、宋ちゃんとは個人戦、由貴とは団体戦ということにしましょう」

そうして楽しそうにしている歩美先輩、と恨めしそうに見ている秘書Aと執事B――改め、西宮さんと南くん。

二人はこれから猛勉強するそうで、俺と綾香さんは帰宅することになった。

 

帰宅途中、俺の少し後ろを歩いていた綾香さんがおもむろに口を開いた。

「ごめんね、やりたくもない仕事を無理に押し付けてるみたいで」

振り返ると綾香さんは立ち止まっていて、すごく申し訳なさそうな顔をしていた。

「気にしないで下さい。入ったら入ったで、なんとかなりますよ。それに・・・・・・」

「・・・・・・それに?」

俺は一度、言葉を切って、それから言った。

「生徒会には、綾香さんもいるんでしょう?」

「え、ええ・・・・・・」

綾香さんの顔が、徐々に赤くなっていく様子が、なんか可愛かった。

「なら大丈夫です♪」

そう言ったあと、なんとなく恥ずかしくなって前を見たら。そこには夕日が赤々と山の向こうに沈もうとしていた。

久しぶりに見た日本の夕日は、なんだかとっても大きく見えた。

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