「わ〜いエリちゃんが私の部屋に来た〜♪」
何で?
「おかしいな〜。さっきまで居なかったのに〜・・・・・・」
何で明日香先輩が・・・・・・。
「だってここは私たちの部屋よ?」
そう言われれば確かにその通りなのだが、なんとなく納得出来ない。
と言うよりも、よく考えれば今は居なくてもその内帰って来る事くらい予測できた筈なのだ。それを予測出来なかった自分が情けない。
疲れてて思考回路が麻痺してたのかな?
「エリちゃん、あ〜そぼ?」
「いや、俺疲れてるんで遠慮しときます」
この人と遊んでたらそれこそ体がもたない。
「へ〜、エリちゃんは女の子の部屋に勝手に入って、そういう態度を取るんだ〜」
「いや勝手にって、アリス先輩が・・・・・・あれ?」
居ない。どうして? さっきまで居たのに・・・・・・。
「へっへ〜。アリスには出て行ってもらいました〜」
はぃ?
「何でですか?」
「エリちゃんと二人っきりにな・る・た・め・に♪」
・・・・・・やばい。この人目が本気(マジ)だ。
なんとかこの状況を打破せねば。
ミッションT――明日香先輩から脱出せよ――スタート。
「エリちゃん何して遊ぶ? トランプとか枕とか有るけど?」
明日香先輩の言葉は無視して、戦場を隈無く分析する。
出口まで5m。明日香先輩の両脇を見る。
右――壁があり、通れそうに無い。
左――大きく開いている。
俺は、右へフェイントをかけた後、素早く左へ抜けた。
よし、これで振り切れる。そう思ったその時、後ろから明日香先輩が尋常じゃない速さで俺の胴を捕らえた。
「つ〜かま〜えた♪」
あっさり捕まってしまった。
しかも・・・・・・この人、力強い。
なんとか抜け出そうとするが到底無理。――と思ったその時、救いの手が・・・・・・、
「何してるんだ? 明日香。龍宮で遊ぶのもいい加減にしろよ」
「は〜い・・・・・・」
ユエ先輩が来てくれたお陰でミッションコンプリート。
廊下をクタクタになりながら歩いてる時に、ふと気が付いた。
「あっそうだ。海斗先輩の部屋に行けばいいんだ」
何で今までそんな簡単な事にも気付かなかったのだろうか。
俺は、再び自分の思考能力の低さに情けなくなりながらも海斗先輩たちの部屋へと向かった。